2023年12月09日 カテゴリ:眠り

仮眠とは?必要な理由や効果、効果的にとるコツをご紹介

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仮眠とは?必要な理由や効果、効果的にとるコツをご紹介

夜しっかり眠っていても、なぜかやってくる午後の眠気。

「昼食後、眠くてうとうとしてしまった」「午後の会議に集中できない」という経験をしている人も多いのではないでしょうか。

最近では、仮眠をとることを推奨している企業が増えており、眠気に抗(あらが)いながら作業をするより、仮眠で体と脳を休めた方が、作業効率が上がることが分かってきました。

そこで今回は、nishikawaの研究機関・日本睡眠科学研究所の安藤翠が、効果的な仮眠のとり方や、環境の整え方などについて解説します。

   

仮眠とは?適度な仮眠は必要?

仮眠とは、夜の睡眠時間とは別に、午後に短時間の睡眠をとること。夜間は深く寝入った状態になりますが、仮眠は浅い睡眠状態であることも違いの1つです。

「夜間にしっかり眠れていても、午前中の作業で疲労は蓄積されます。昼食後に適度な仮眠をとることで、疲労を回復し、午後の作業をより効率的に行うことができるようになります。」

近年、仮眠の効果が広く浸透しつつあり、仮眠時間を確保する企業も増えてきました。また、病院や空港など、夜勤で働いている人にとっても仮眠は必要と言われています。

また「日本看護協会」のガイドラインでは、注意力を保つために仮眠を確保することを推奨しています。
 

仮眠が必要な理由とその効果

「仮眠をとることで心身が落ち着き、リフレッシュしてから午後の仕事に臨(のぞ)める。パフォーマンスもアップする」という声も多いそう。

また、眠りの質や睡眠時間にかかわらず、「仮眠は誰にとっても有益な行為」という研究結果も出ているそうです。
 

疲労回復と眠気の解消ができる

仮眠することで得られる代表的な効果は「疲労回復」「疲労蓄積の予防」「作業効率アップ」の3つです。

特に作業効率については、集中力や記憶力の向上、精神的なストレスの軽減などが挙げられ、仮眠をとらなかった場合と比較しても、大きな差があることが研究結果から明らかになってきました。

また、疲労を回復するだけでなく、疲労蓄積の予防にもなるため、午後の時間をより活動的に過ごすことができるように。

さらに適度な仮眠は夜間の眠りの質も高めてくれるため、仮眠を習慣付けることで、より健康的な生活を送れるようになるはずです。

夜勤や長時間活動を行う人ほど、健康への影響を考慮して仮眠をとり入れることをおすすめします。
 

生体リズムの維持ができる

疲労の蓄積も関係していますが、「体内時計」も大きく影響しています。体内時計とは、私たちの生体リズムを調節する役割を担(にな)っており、意識しなくても「活動」と「休息」のスイッチが切り替わるようになっています。

「体内時計において、1日で感じる眠気の波は2回。もっとも大きな波が深夜の時間帯、そして2番目の波が、起床してから6〜7時間後の午後の時間帯です。午後に眠くなってしまうのは、体内時計が正常に機能しているからです。誰もが感じる生理現象だと考えて良いでしょう。」

▼体内時計について詳しく知りたい方はこちら
朝起きられない原因はストレス?目覚ましが鳴っても起きられない人の改善方法のコツを紹介!
https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20200901180609/

寝ても寝ても眠い原因は睡眠不足?過眠症やうつ病の可能性があるって本当?
https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20200401191755/
 

生活時間を有効活用できる

「睡眠不足や疲労を残したまま休日を迎え、自由な時間を睡眠にあててしまったという経験をお持ちの方も多いはず。仮眠でこまめに疲労を回復しておけば、生活時間をより有効に活用できますよ。」

仮眠を習慣化することで、「疲れを引きずらなくなった」という感覚をより強く実感できると思います。
 

夜勤など、長時間活動の健康影響を防ぐ

仮眠で得られる効果は同じですが、夜勤の場合は「仮眠の時間」や「眠りの深さ」が異なります。

「夜勤で働く方は、深夜の時間帯に仮眠をとることになると思いますが、その際、昼間の仮眠とは対照的に1時間半〜2時間くらいでしっかり眠ることが理想とされています。」
 
24時間稼働で交代制の勤務体系をとっている企業では、起床や睡眠時間が不規則にならざるを得ません。その日の勤務時間に合わせて就寝しようとしても、なかなか寝付けず、睡眠不足を感じている方も多い印象です。

睡眠不足は体や脳を疲労させるだけでなく、イライラしたり気分が落ち込んだりするなど、メンタル面にも大きく影響を与えます。

より効率的に睡眠時間を確保し、健康への影響を防ぐためにも仮眠は有効な手段だと考えています。
 

良質な仮眠をとるためのポイント

 

15〜30分の仮眠をとる

午後の眠気のピークがやってくる12〜15時の時間帯で、15〜30分の仮眠をとることがおすすめです。

30分以上眠ってしまうと、深く寝入ってしまい、その日の夜に寝つきにくくなってしまう可能性があるため、30分以内に留めるのが良いでしょう。
 

横になるなら30度程度の傾斜をつける

また、姿勢も重要なポイントです。フラットなベッドで寝てしまうと、夜間の睡眠と同じくらい深く眠ってしまうので、横になるなら30度程度の傾斜をつけるのが理想です。

リクライニングチェアや、クッションを利用して角度をつけてみてください。

オフィス内のデスクでうつ伏せになって仮眠する場合も、クッションを利用すると、圧力が分散されるので快適に眠ることができます。

自宅で作業している方の中には、仮眠時に寝室のベッドを使っているという人も少なくありません。

「できれば仮眠する場所と夜眠る場所は分けてほしいです。普段、眠っているベッドで仮眠をとってしまうと、深い眠りに入りやすく、起床しにくくなってしまうからです。」

また、自宅の場合、オフィスよりもリラックスしている状態にあるため、「入眠」よりも「起床」のための工夫をしてあげると良いと思います。

起きた後に光を浴びたり、快活な音楽をかけるのもおすすめですよ。
 

社内で仮眠環境を整備するには

オフィスによって、確保できるスペースが異なると思うので、それぞれに適した仮眠環境を検討しましょう。

仮眠スペースを確保するのが難しい場合、デスクで仮眠がとりやすいよう、仮眠用のクッションを導入しても良いと思います。周囲の音や光が気になる人は、アイマスクやイヤホンを活用するのもおすすめです。

今年、ANAエアポートサービス株式会社の睡眠環境改善のコンサルティングをさせていただきました。

その際は、以前からあった仮眠室を活用し、ベッドや音、光の調整をしたのですが、以前と比較して社員の仮眠中の中途覚醒が減り、「しっかり眠れるようになった」「すっきりと起きられるようになった」とうれしい感想をいただきました。

空港や病院では夜勤の方も多いと思います。その場合、昼間よりも長時間で深い眠りを得るために、フラットな姿勢での仮眠が理想とされています。

職種や確保できるスペースの有無で、最適な仮眠環境を検討していただけたらと思っています。

また、「仮眠をとりたくても、周りの目が気になってできない」という方も少なくないと思います。上層部の方から積極的に仮眠をとり入れていけば、社内に浸透しやすくなるのではないでしょうか。

ANAエアポートサービス株式会社の記事はこちら
https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20230124185010/
 

オフィスに仮眠環境を整備した事例

nishikawaでは、2019年から仮眠のための「ちょっと寝ルーム」が導入されています。「ちょっと寝ルーム」が仮眠専用のスペースとして利用できるのは、毎日12~15時の3時間。

そして仮眠は15~30分が適切と考えられているため、15分ごとの入れ替え制をとっています。

仮眠をとるのが15時を過ぎたり、30分を超えたりすると、今度は夜の睡眠の妨げになるからです。

そして特徴的なのが、ベッドの角度ですね。

フラットなベッドで横になってしまうと、眠りが深くなってしまい短時間では起きづらくなります。

また、仮眠をとるのが昼食後であることも考慮して、食べたものが逆流しづらいよう、仮眠用のベッドには30度の傾斜をつけているんです。
さらに「ちょっと寝ルーム」では、室内の音や照明にも工夫を凝らしています。

15分のあいだに、音や照明が変化していくんです。音に関しては入眠段階に穏やかな波の音が流れ、目覚めの段階には軽やかなメロディが流れます。

途中に静かな段階を挟みますが、まったくの無音ではありません。無音にすると少しの物音にも敏感になり、かえって眠りづらい人も多いため、心地良い程度のノイズを混ぜています。

照明に関しては、入眠の段階には黄色みがかった温かみのある色。そこから徐々に暗くなり、目覚めの段階に向けて明るくなっていきますが、目覚めのときには黄色ではなく、白っぽい色の照明にしています。

人はしっかり明るい光を浴びることで活動のスイッチが入り、すっきりと目覚められるんです。これは仮眠だけでなく、朝目覚めたときでも有効ですのでぜひ試してみてください!


 

仮眠環境がない人の味方は“枕とコーヒー”!

仮眠の後、すっきり目覚めるためには、仮眠の前にコーヒーを飲むことがおすすめ。「コーヒーナップ」といって、今話題の方法です。

コーヒーにはカフェインが含まれていますが、カフェインの覚醒効果が現れるのは、飲んでから約15~30分後と言われています。

ちょうど、推奨される仮眠時間と同じなんです。

ですから1杯のコーヒーを飲んでから15分程度の仮眠をとると、起きるころにカフェインが効果を現し始め、すっきり目覚められるはずです。

nishikawaでは食堂の隣に「ちょっと寝ルーム」があり、食堂にはコーヒーサーバーがあるため、この流れで仮眠をとる社員が多いんです。

開設当初は「お昼寝の習慣がないから、眠れるかどうか分からない」という社員もいましたが、実は仮眠は“慣れ”が必要。

「決まった時間に仮眠をとるようにすると、3日程度で仮眠の習慣が付く」という研究結果もあります。

そして、たとえ眠れなかったとしても、目をつぶって体を休めるだけでも、十分な効果が期待できます。

ご自身の体のためにも、パフォーマンス向上のためにも、ぜひ仮眠をとり入れてみてください。
 
***


仮眠をとるための、さまざまなポイントを教えていただきました。

職種や環境によって、とり入れ方は異なりますが、効果的に仮眠をとり入れて午後を元気に過ごしたいものですね。

まだ仮眠を試したことがないという人は、今回のポイントをチェックして実践してみてはいかがでしょうか。
 

nishikawa 東京オフィス

安藤 翠

“nishikawaの研究開発室 東京担当。nishikawaの研究機関である「日本睡眠科学研究所」の一員でもあり、「ちょっと寝ルーム」の開設にも従事。

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