2023年08月22日 カテゴリ:眠り

プールの後に眠くなるのはなぜ?専門医に聞く、運動後の眠気と生活リズムの関わり

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プールの後に眠くなるのはなぜ?専門医に聞く、運動後の眠気と生活リズムの関わり
学生時代、プールの授業の後にうとうとしてしまったという経験がある人も多いのではないでしょうか。特に泳いだ後は、他の運動と比較しても眠気を強く感じる傾向にあります。

今回は「太田睡眠科学センター」の竹内暢先生に、プール後の眠気の原因や、生活リズムとの関わりについて伺いました。

 

プール後に眠くなるのは疲労が原因。生理的な眠気は仮眠をとって回復を

陸上の運動に比べて、水泳後に睡魔が襲ってくるのは「生理的なもの」と竹内先生は解説。

水泳後はプールに入ったことで下がった体温をリカバリーするために、陸上での運動後よりエネルギーを消費します。それが原因で強い疲労を感じやすくなるそうです。

「体温と睡眠は密接な関係があります。夜の睡眠では、入眠時に体温が下がる傾向があると、寝つきがよくなるとの研究がありますので、夏場であれば体温がこもり過ぎない寝具を利用するなどの工夫も必要ですが、プールの後の眠気は少しメカニズムが異なるかもしれません。冷たい水で、体が冷えると体温を再上昇させるために、疲労が眠気の原因になると考えられます」

では、プール後の眠気対策はどうしたらよいのか?それはシンプルに「生理的な眠気の場合は、冷たい水やプールに入り過ぎない(体育学では26℃程度の水温を推奨)、疲れての眠気であれば、適度な仮眠をとることもオススメ」とのこと。

カフェイン摂取などで、一時的に目を覚ますこともできますが、そもそも学校でカフェイン飲料を飲むことはできません。なので、可能であれば仮眠をとって脳と体を休めてあげることが大切。

しかも「昼寝の時間」を取り入れている福岡県の高校では、「生徒の成績が全体的に上がった」という結果が出ているのだとか。

「眠気を我慢してぼんやりと過ごすよりは、計画的に仮眠を取ったほうが、パフォーマンス向上につながります。時間をより効率的に過ごすためにも、適度に仮眠をとることをオススメします」

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「仮眠をとってもスッキリしない」は要注意!?強い眠気は睡眠リズムの乱れが原因かも



その一方で、「仮眠をとってもスッキリしない」「日中ぼんやりすることが多い」という場合は、睡眠時間が足りていない可能性があります。

「仮眠をとってスッキリするなら『生理的な眠気』と捉えて良いでしょう。しかし、仮眠をとっても頻繁にうとうとしてしまうようなら、普段の生活や睡眠時間を見直す必要があります」

竹内先生は、「生活や睡眠リズムの乱れは疲労に直結する」と話します。特に現代の子どもたちは、睡眠不足の傾向に。子どもは8時間以上の睡眠時間を確保したいところですが、塾や習い事などでスケジュールが詰まりがち。睡眠不足を自覚するのは難しいため、お父さん、お母さんがお子さんの睡眠状況を客観的に判断し、リズムを整えるよう促してあげてください。

 

「目覚ましなし」の眠りでわかる、自分の適正睡眠時間

私たちは、「朝起きて、昼に活動し、夜に眠る」と生活リズムをパターン化していますが、実際は、各々に異なる体内時計を持っています。これを、「クロノタイプ」と呼び、「朝型」「夜型」「中間型」のいずれかに分類することができます。

「クロノタイプに合わせて活動した方が、パフォーマンスが上がるという研究もあります。大人も子どもも同様に、『自分にフィットした活動時間を選ぶ』ことが、本来は望ましいのです」

国立精神・神経医療研究センターのHPでは、質問に答えると自身のクロノタイプを知ることができます。参考にしてみてはいかがでしょうか。

また、夏休みなどの長期間の休みには、「目覚まし時計を設定せずに、自由に眠ることもオススメ」と話す竹内先生。2週間ほど自由に睡眠をとることで、自分に適した睡眠時間が、概ね推測できるそうです。但し、リズム障害が疑われる、または治療中であれば慎重な対応が必要になります。

自分の適正睡眠時間を知ると、普段の生活で睡眠がどの程度不足しているかを判断できるように。一人ひとりに合った睡眠と活動時間を知ることで、生活習慣を調整しやすくなるはずです。自身や家族の眠りの状況から、日常生活を見直すきっかけにしてみてください。
 
***

夏休みはプールや海水浴に行く機会が多くなります。水泳後はしっかりと仮眠をとり、適正な睡眠時間を知り、日々の睡眠サイクルをキープしましょう。そして健やかな2学期をスタートさせてくださいね。
 

太田睡眠科学センター

竹内 暢 先生

久留米大学医学博士課程卒業。睡眠障害の診断・治療に従事し、2022年7月より「太田睡眠科学センター」に勤務。医学だけでなく、心理・社会的背景も視野に入れた診療を行い、耳鼻科・呼吸器内科・精神科といった他科との連携を図りながら、あらゆる睡眠障害の治療に当たる。

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