2018年11月21日 カテゴリ:人生と睡眠のお話聞かせてください

いっぱい休んで、いっぱい働く!若きホテル経営者・龍崎翔子さんに訊く「仕事と休憩の話」

いっぱい休んで、いっぱい働く!若きホテル経営者・龍崎翔子さんに訊く「仕事と休憩の話」

東京西川には、眠りをサポートするコンサルタント“スリープマスター”という資格があるんです。そのなかで2人の女性スリープマスターが結成したのが、睡眠の大切さを伝え、悩みを解決する“すやすや部”。この連載は、すやすや部の2人が、さまざまな職業の方のお仕事や人生といったパーソナリティに迫りつつ、ご自身の睡眠のアレコレについて伺う連載です。
 
今回は19歳のころに会社を設立し、ホテル経営、ホテルプロデュースを手がける龍崎翔子さんにお話を伺いました!
 


ホテルプロデューサー
龍崎翔子さん

1996年、京都府生まれ。19歳のときに、母親とともにL&Gグローバルビジネスを設立。「ソーシャルホテル」をコンセプトに掲げ、北海道・富良野に「petit-hotel #MELON富良野」を開業。その後、京都・東九条の「HOTEL SHE, KYOTO」、大阪・弁天町の「HOTEL SHE, OSAKA」、神奈川・湯河原の温泉旅館「THE RYOKAN TOKYO」をプロデュース。2018年のゴールデンウィークには、北海道・層雲峡で「HOTEL KUMOI」をリニューアルオープンさせた。

龍崎さんのTwitter 
 


単なる寝床ではない“ホテルは出会いをつなぐメディア”


すやすや部:若き経営者として注目される龍崎さんですが、個人的にすごく印象的なのが、多くの媒体で発言されている「ホテルはメディア」という言葉です。この言葉には、どのような想いが込められているのでしょう?
 
龍崎さん:メディアって、何かと何かの橋渡しですよね。ホテルも同じで、人と人、人と街、人と文化を橋渡しする存在だと思うんです。こう考えるに至ったのには、最初に手がけた「petit-hotel #MELON 富良野」での経験が影響しています。スタート当初はすべての業務を母と2人で行い、てんやわんやの状態で…(笑)。限られたリソースのなかでお客さまをもてなそうと、食堂の一角にバーを設けたんです。私が接客をし、お酒はすべて無料という設定でした。
 
すやすや部:お客さまからしたら、とても嬉しいサービスですね。無料でお酒がいただけて、スタッフさんとの会話も楽しめるなんて、お邪魔したくなります(笑)。


 
龍崎さん:ありがとうございます、ぜひ(笑)!順調だったのですが、あるとき私としては十分に接客できなかった瞬間があって反省して…でもそれにも関わらず、すごく満足くださったお客さまがいらっしゃったんです。理由を探ると、お客さま同士で生じた出会いが満足感につながっていて。出会いを目的に旅に出る人は、多くはありません。それでも誰かと仲良くなれたら、やっぱり嬉しい。ポジティブな予定不調和が、旅全体の満足度を高めてくれるんです。ホテルは世界各国からお客さまをお迎えする場所なので、出会いを媒介するにはうってつけだと思いました。
 
すやすや部:たしかに旅先での出会いって、印象に残りますよね。そうした役目をホテル自らが担うなんて、すごく新しい。お話を聞いているだけで、ワクワクします。
 
龍崎さん:しかもホテルは旅先での起点であり、一時的な住空間です。すると、お客さまと街を媒介することはもちろん、生活における新たな提案もできます。大阪・弁天町の「HOTEL SHE, OSAKA」には、全客室にレコードプレーヤーを設置していますが、これもメディアとしての意識です。ふだんはあまり触れることのないレコードに触れ、新たなライフスタイルを試着してほしい。そうした機会を媒介するメディア、という感覚です。
 
 

日本人には柔らかなマットレスも、欧米人にとっては“板”!? 


すやすや部:客室のインテリアも、とても素敵ですよね。龍崎さんご自身が考えられているのですか?
 
龍崎さん:最初にコンセプトを設定し、デザイナーさんとのディスカッションを重ねながら、形にしていきます。北海道・層雲峡の「HOTEL KUMOI」を例に挙げると、“Vapor=水蒸気”がコンセプトです。層雲峡は霧が立ちこめる景色が美しく、雲海や滝も有名。そして温泉には湯気が沸く。街のイメージからコンセプトを設定し、「ホテル内で“水蒸気”を楽しむには?」という発想から、水タバコを楽しめるスペースを設けることにしたんです。
 
すやすや部:なるほど!“ホテルで水タバコ”という意外性には、そうした背景があったのですね。納得しました(笑)。
 
龍崎さん:ここまで決まると、次がインテリアです。「水タバコが映えるのって、どんな部屋だろう?」という観点から、デザインを考えました。ただ、プロダクトの面でいうと、むしろ御社に教えを請いたいくらいです…!客室を構成する要素でも、寝具は本当に難しい!日本人である私は「最高の寝心地!」と思って導入したマットレスも、欧米のお客さまから「まるで板のように堅かった」というレビューをいただいたこともあって(苦笑)。



すやすや部:たしかに日本の方は硬め、欧米の方はフワッと身体が沈み込むような、ウレタン系のマットレスを好む傾向にありますね。ウレタン系に慣れていると、日本基準では柔らかめのマットレスでも硬いと感じますから…。そのご苦労、お察しします!
 
龍崎さん:外国からお見えになった方には極力、柔らかめのマットレスのお部屋をご案内したり、枕に関しては片面が堅く、もう一方が柔らかなプロダクトを導入したりしていますが、本当に悩ましい問題ですよね。
 
 

生まれながらの感覚が導き出した“眠りに優しいホテル”
 

すやすや部:睡眠環境という観点ですと、部屋の明るさも重要です。ぐっすり眠るにはメラトニンというホルモンが欠かせず、メラトニンを機能させるには、太陽の光を浴びることが重要です。太陽光を浴びてから14〜15時間ほどでメラトニンが働き出し、眠る準備を始めます。まずは、朝の時間帯に日に当たることを意識しましょう!出張でホテルに宿泊し、採光のしっかりした食堂で朝食をいただくと、「睡眠環境まで考慮されているな!」なんて、深読みしてしまうほどです(笑)。

龍崎さん:お話を聞き、ホッとしました。うちのホテルにはソファを置いたテラスがあり、多くのお客さまが、そちらで朝食を召し上がります。意図せずではありましたが、朝を迎える環境としては結構良いのかもしれません(笑)。
 
すやすや部:太陽光を直に浴びられるテラスなんて、素晴らしい!ちなみに寝室は、暗めの照度が理想的です。いざ眠るときには「ここにイスがあるな、ここにティッシュがあるな」と、何となくわかる程度。数値で示すと0.3ルクス程度がベストです。そして音に関しては、40デシベル以上が理想とされています。図書館で本をめくるくらいの静けさですね。それを超えると人は騒音と捉え、眠りにくくなってしまうんです。睡眠の前に音楽を聴くにしても、タイマーを設定し、そのままお休みいただくのがオススメです。



龍崎さん:もしかするとレコードプレーヤーを設置した「HOTEL SHE, OSAKA」は、眠りに優しいホテルなのかもしれません(笑)。というのもライトは間接照明で統一し、壁は光を反射しないブルートーン。レコードはオートループができないせいか、「音楽をかけたまま、気づけば寝ていました」というお声が多いです。シンプルに「良い宿泊体験を」という思いからの設計でしたが、科学的な裏付けがあると心強いですね!

 

寝室と外の世界をシームレスにする“夜遊びパジャマ”

 
すやすや部:龍崎さんのホテルプロデューサーとしての感覚が、見事に当たったわけですね(笑)。8月にクラウドファンディングに成功された“夜遊びパジャマ”にも、すごく驚かされました。寝具メーカーの人間からすると、「遊ぶ環境とは切り離し、眠る環境に特化した衣類がパジャマ」という位置づけなので新鮮でした。
 
龍崎さん:これも「ホテルはメディア」という観点での試みです。部屋に戻ってパジャマに着替えると、また外出するのが面倒ですよね。それが旅という非日常においては、すごくもったいない。寝室と外の世界をシームレスにし、「パジャマに着替えたあとも、もっと街を楽しみ、もっと出会いを楽しんでほしい」という思いを込めています。ジャージ風の設計なので外でも浮かないし、お部屋で過ごすにもラクちん。通気性や消臭効果を設けているため、朝にはそのまま、ランニングも出かけられます。



すやすや部:「寝室と外の世界をシームレスに」という概念は、寝具メーカーとは正反対の発想。だからこそ、すごくおもしろい。新たな刺激をいただいた気分です。ところで龍崎さんご自身の睡眠は、いかがですか?ホテルの運営をされ、学校にも通われ、眠る間もなさそうな…。
 
龍崎さん:それが、わりと寝ているんです(笑)。ただ、寝る時間はいつも遅いですね。深夜の3時半くらいに眠りにつき、起きるのは9時くらい。6時間程度は眠っていますが、深夜1時過ぎでスマホを閉じても、「あの芸能人のゴシップ、どうなったんだっけ?」なんて再びスマホをいじり始めてしまいます(笑)。そのせいか、日中は眠いことが多いですね。
 
 

いっぱい休んで、いっぱい働くことが“龍崎流”!

 
すやすや部:ご自身が眠いと感じるのであれば、もう少し睡眠時間を増やしてもいいかもしれません。そしてスムーズに眠りに入るには、スマホは禁物ですよ(笑)!オススメは日記を書くことです。一日の行動が整理されるのと同時に、脳内も整理されます。また、入浴はシャワーで済まさず、お風呂に浸かること。体温が下がり始めると眠気が高まるため、湯船に浸かり、意図的に体温を上げることが睡眠導入につながります。
 
龍崎さん:オーダーメイド枕の測定器もやっていただけるんですか?首の反りを目にしたのは初めてです!どうしたら上手に眠れるのか、いろいろと試した過去がありますが、今日で救われた気分になりました(笑)。オーダーメイド枕も、ぜひ取り入れてみたいです!



すやすや部:こちらこそ、今日は龍崎さんのお話から多くの刺激をいただきました。この記事を読んでいる方も、同じく刺激を受けられると思います。そうした方に向け、最後にメッセージをお願いします!
 
龍崎さん:最近、印象的だった言葉があります。自衛隊では休むことを『戦力回復』というそうです。「休息こそが仕事への投資」という意味にも捉えられますよね。そう考えると「仕事があるから…」なんて、眠りを含めた休息を躊躇してはダメ。いっぱい休んで、いっぱい働く。そんなビジネスパーソンを目指したいです!
 
「思い付いたこと、興味が湧いたことに関しては、すぐさま実行!」の行動力と、発想の柔軟さが印象的だった龍崎さん。これこそが、22歳の若さにしてホテル界に新風を巻き起こす理由なのかもしれません。龍崎さんが手がけるホテルに泊まりたくなりますね。
 
それでは、心地いいホテルの寝具に包まれている自分を想像しながら…今夜もぐっすり、おやすみなさい。

 



東京西川スリープマスター・アロマテラピーアドバイザー
富下 瞳
 
東京西川・日本睡眠科学研究所認定のスリープマスター。社内では主に販売員教育などを担当しているほか、全国で眠りに関するセミナーや寝具選びのコンサルティング、快適な睡眠環境づくりのアドバイスを行う。現在、ラジオ番組「磯山さやかのGoodナイト!Goodトーク!」(ニッポン放送)に出演中。
 
いっぱい休んで、いっぱい働く!若きホテル経営者・龍崎翔子さんに訊く「仕事と休憩の話」

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最近見た商品