2020年01月06日 カテゴリ:眠り

眠りが浅い原因とは?ストレスのせい?眠りが浅い人の特徴から改善策まで紹介

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眠りが浅い原因とは?ストレスのせい?眠りが浅い人の特徴から改善策まで紹介
睡眠障害のひとつである「不眠症」。眠りが浅かったり、目覚ましより早く起きてしまったり…。「もしかして不眠症?」と悩んでいても確証が持てず、やり過ごしてはいませんか?

そこで今回は、睡眠治療の専門医である「スリープ・サポート クリニック」理事長・林田健一先生が、不眠症にまつわる疑問をズバッと解決!知っているようで知らない不眠症の定義から睡眠不足との違い、さらには今日から実践できるセルフケアまで、Q&Aスタイルでお届けします!
 

Q:不眠症って、どんな状態を指すの?
A:眠りたいのに眠れない状態が慢性化し、日中にも影響を及ぼしている状態!

そもそも「不眠」とは、眠りたいのに眠れない状態を指します。この状態は、遠足の前日にワクワクして眠れなかったり、ショックな出来事を引き金に眠れなかったり、多くの人が経験することです。

では、「不眠症」とは何なのか。眠りたいのに眠れない状態が続き、なおかつ、不眠が日中の活動に支障を来している状態を指します。不眠の状態が続いても、日中に元気に活動できていれば問題ありません。それが仕事でミスをしたり、ツラいほどの倦怠感に襲われたり、慢性的な不眠と日中のパフォーマンス低下が合わさると、「不眠症」と診断されます。

ひと口に「不眠症」といっても、その症状はさまざま。具体的には、お布団に入ってから入眠までに60分以上かかる「入眠困難」、眠りに就いたものの睡眠の維持が難しく、途中で何度も起きてしまう「中途覚醒」、目覚ましをセットした時間よりも2時間以上早く起きてしまう「早朝覚醒」の3つが挙げられます。
 

Q:不眠症になりやすい人って、どんな人?
A:真面目な人、繊細な人、心身の不調に敏感な人もなりやすい傾向に!

一概にはいえませんが、真面目な人、繊細な人、心身の不調に敏感な人もなりやすい傾向にあります。というのも不眠が慢性化してくると、「今夜こそは眠らなければ!」という焦りが生じます。物事に真摯に向き合いやすい性格の人ほど、この焦りが生じやすいのです。

すると眠りへの不安と焦りが過度なプレッシャーとなり、かえって眠りにくくなります。こうしたケースに陥ると「自分の布団=眠れない場所」という条件付けがされてしまい、寝室に入ったり、枕のニオイを嗅いだりするだけで不安に駆られる人もいるほどです。
 

Q:不眠症と睡眠不足は違うの?
A:違います!判別するポイントは、眠ろうとして眠れるか!

違いを簡潔に説明するなら、眠りたいのに眠れないのが「不眠症」なのに対し、眠ろうとすれば眠れるのが「睡眠不足」です。つまり「睡眠不足」とは、眠ろうとすれば眠れるにもかかわらず、睡眠時間が足りていない状態を指します。

成人の場合、一般的に7時間程度の睡眠が推奨されていますが、睡眠不足に陥りやすいのが働き盛りの世代。仕事のために、睡眠時間を削らざるを得ない人たちです。しかし仕事から解放され、眠る状況を確保すれば眠れる。こうした人は不眠症ではなく、睡眠不足の状態です。

睡眠不足を自覚していない人も珍しくなく、仕事のミスや倦怠感という形で、睡眠不足の影響が現れることがあります。日中のパフォーマンス低下という点では不眠症と同様ですが、眠ろうとすれば眠れる場合には、「睡眠不足症候群」と診断されます。
 

Q:不眠症はセルフケアできるの?
A:できます!「不眠かな?」と思ったら、早めのセルフケアを!

不眠を解消するには、睡眠衛生の向上が大切です。そこで第一に心掛けたいのが、朝、なるべく決まった時間に起きること。人は起床後、盛んに活動する日中に疲労物質や睡眠物質がたまっていき、たまった物質によって眠気が引き起こされます。不眠症の人は就寝時間にこだわる傾向にありますが、むしろ起床時間にこだわり、活動を始める時間を一定にしたほうが眠気を誘発しやすいのです。

また、眠気を誘うには、深部体温の上昇と下降が必要です。人はカラダの深部、つまりは内蔵の温度が上がり、上がった温度が下がるときに眠気を感じるため、夕方の時間帯に深部体温を上げることがポイントです。そこで効果的なのが、運動と入浴。ただし、寝る直前のハードな運動はかえって興奮状態を招くため、夕食前後までに有酸素運動を行うことがオススメです。熱いお湯での入浴も興奮状態を引き起こすため、湯船の温度は40℃程度が目安。熱めのお湯が好きな人は、早めの入浴を心掛けてください。

そして、寝る前の行動のルーチン化も効果的です。例えば、いつものニュース番組を見てからお風呂に入り、お風呂上がりにはいつもの音楽を聴きながら、お気に入りの雑誌を読む。このようなルーチン化をすると、眠りへと移行する行動が条件付けされ、カラダが自然と就寝モードに切り替わっていきます。
 

Q:反対に、不眠症になりやすい生活習慣とは?
A:嗜好品の摂取やスマホの閲覧、眠たくないのにお布団に入るのもNG!

気をつけたいのが嗜好品の摂取です。「お酒を飲むと眠くなる」という人が多いかと思いますが、その眠気は一時的なもの。酔いが覚めるのと同時に眠気も覚め、アルコールの血中濃度が低下することから、再入眠が難しくなります。また、カフェイン含有の飲み物にも要注意。カフェインの持続効果は4~5時間のため、夜の時間帯にはノンカフェインのドリンクがオススメです。

寝る前の行動としては、スマートフォンを見るのもオススメできません。スマホを見るのは、能動的に情報を得ようとする行為。この行為が脳を覚醒させてしまうため、眠りには悪影響です。寝る1~2時間前にはスマホやタブレット、パソコンもオフにし、部屋の照明は暗めのオレンジ系に切り替えるのがオススメ。人は明るい光を浴びることで活動開始のスイッチがオンになるため、寝る前とは反対に、寝起きには白く、明るい照明に切り替えましょう。

このように生活習慣や環境を整えることが大切ですが、眠くないにもかかわらず、無理に眠ろうとしてはいけません。先にもお話しした通り、無理に眠ろうとする焦りが、かえって不眠を引き起こすことがあるからです。また、「お布団=眠る場所」という条件付けを妨げないよう、お布団やベッドで食事や仕事をするのはNG。ワンルームにお住まいの場合、活動環境と睡眠環境が混同してしまいがちですが、しっかり区別しましょう。
 

Q:お医者さんに相談すべき目安とは?
A:不眠が週3回以上、1か月にわたって続いたら、お医者さんに相談を!

眠りたいのに眠れない状態が「不眠」というお話をしましたが、不眠が週に3回以上、1か月にわたって続き、体調や日中の活動に支障があれば、治療すべき状態にあるといえます。睡眠衛生を向上させるためのセルフケアも大切ですが、自分で何とかしようと抱え込まず、ツラさを感じたら、医療機関を受診してください。

ちなみにセルフケアの一環として、市販の睡眠改善薬をお使いの方もいるかと思いますが、市販薬の多くに配合されているのが抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬は市販の風邪薬や鼻炎薬にも配合され、強い鎮静作用が特徴。つまりは眠気を誘発します。「風邪薬や鼻炎薬を飲むと、なんだか眠くなる」というのも、抗ヒスタミン薬の作用です。

鎮静作用が眠気を誘発することも確かですが、あくまでも改善薬であり、不眠治療に的を絞った薬ではありません。医師が処方する薬とは性質が異なるものと認識し、添付の説明書にある通り、連用は避けること。そして、市販薬を2〜3回服用しても改善されない場合には、やはり、お医者さんを受診してください。不眠症に特化した薬の処方はもちろん、医師の観点から、適切な治療やアドバイスを受けられるはずです。
***

いかがだったでしょうか?「やっぱり不眠症なのかも…」と思った方も、悩む前に、まずはセルフケア!そして林田先生がおっしゃる通り、自分だけで抱え込まず、医療機関を受診することも大切です。

また、先生が教えてくれたセルフケアは、健やかな眠りを得るための生活術でもあります。不眠に悩む方も、そうでない方も、実践してみてくださいね!

林田先生、ありがとうございました!
 

「スリープ・サポート クリニック」理事長

林田 健一 先生

東京慈恵会医科大学卒業後、慈恵医大本院や同青戸病院などに勤務。睡眠障害の臨床研究と専門治療に取り組み、2007年、品川区大崎に睡眠障害やストレスに悩む人に向けた「スリープ&ストレス クリニック」を開設。2018年には入院検査も可能な「スリープ・サポートクリニック」を品川区鮫洲に開設。メディア出演や講演を通じた睡眠医療の啓蒙も行い、著書に『朝、スッキリ目覚め「いい眠りだったな」とつい言ってしまう本』(主婦の友社)などがある。

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